保有技術:溶射以外の表面改質技術PTAプロセス
PTAによる肉盛溶接
PTAの原理
図1にPTAによる肉盛溶接状況を模式化して示します。まず、パイロット電源によって、アルゴンガスが流れているタングステン電極と水冷ノズル間にアークをとばし、アルゴンガスをプラズマ化させます。この高温のプラズマガスを水冷ノズルによるサーマルピンチ効果を利用して絞り、エネルギー密度の高いプラズマアークとして母材に到達させます。アークが母材に達すると、この状態を持続させるためにメイン電源が作動し、アーク電流が母材中を流れるようになり、母材表面に溶融池が形成されます。一方、肉盛材料となる粉末はヘリウム又はアルゴンガスなどのキャリアガスに圧送されてプラズマアーク中に送り込まれ、溶融した状態で母材上の溶融池に投入され肉盛層を形成します。
図2は、プラズマアークの収束性をTIGアークとの温度分布の違いで比較したものです。図から明らかなように、プラズマアークは水冷ノズルによって細く絞られているため、高いエネルギー密度が得られています。これが高融点の粉末でも肉盛材料として利用できる所以といえます。
使用する主な合金粉末
ステンレス系 | SUS309, SUS316, SUS316L, SUS410, etc. |
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ニッケル合金系 | インコネル625, 50Ni-50Cr, ハステロイC, コルモノイ#5, etc. |
ステライト系 | #1, #6, #12, #20, #21, etc. |
その他 | 高速度鋼, トリバロイ, 特殊耐熱合金, etc. |
使用する主な炭化物粉末
炭化物\性質 | 融点(K) | 密度(Mg/m3) | 硬さ(HV) マイクロビッカース |
熱膨張係数 (10-6K-1)295~1273K |
電気比抵抗 (10-6Ω・m) |
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TiC | 3,453~3,523 | 4.85~4.93 | 2,900~3,473 | 7.95 | 0.70~1.73 |
VC | 3,083~3,138 | 5.36~5.77 | 2,800 | 7.25 | 1.5~1.6 |
NbC | 3,773~4,073 | 7.82 | 2,400 | 7.21 | 0.74~2.54 |
Cr3C2 | 2,168 | 6.68 | 1,800 | 11.7(293~1,373K) | 0.70~0.80 |
W2C | 3,123 | 17.2 | 3,000 | 6.0 | 0.80 |
WC | 2,900~3,173 | 15.6~15.7 | 2,400 | 3.84 | 0.53 |